セルモーター(スターター)の故障? 交換前のトラブルシューティング


ご存じですか?

エンジンをかけようとキーを回してみても、全く反応が無い、あるいは一瞬だけキュルキュル、カチカチとセルモーターから音がする。

この様な症状で、バッテリーやセルモーターの故障と判断しての交換作業は当たり前のように行っていると思いますが、バッテリーやセルモーターを交換したのに、症状が改善されない場合があります。

長年に渡り、セルモーターの交換理由をお客様からお聞きして来ましたが、 最も多い理由が、『セルモーターが動かない』からですね。しかし、これだけの理由では、単なる憶測での交換作業となります。


実際、お客様から返却されましたセルモーターを確認しますと少数ですが不具合の無いコアがあります。
安易な点検、交換作業では、同じ不具合が再発するのは間違いありません。


不具合が起きた際に、それぞれの部品に対して診断することが、漏れのない点検整備です。


セルモーターの構造と仕組み


『セルモーターの動作を簡単に説明します』


1.イグニッションキーを回す

2.マグネットスイッチがONになりシフトレバーを動かす

3.シフトレバーで押し出されたピニオンギアが、エンジン側フライホイールのギアと噛み合う

4.セルモーターのピニオンギアが回転し、エンジン側フライホイールのギアを回す

5.エンジンが始動する

6.イグニッションキーを戻すとピニオンギアは元の位置へ

下の動画は、セルモーターがフライホイールを回しエンジンを始動する様子を撮影したものです。 とてもわかりやすい動画なので、ご参考下さい。


セルモーターの不具合事例と原因・注意点など


よくある不具合事例と原因を下記に表記しましたので、ご参考下さい。

不具合事例 原因

セルモーターが全く動かない

バッテリーが完全に上がっている、
キーシンダー、スターターリレー、
マグネットスイッチの故障、など
キーを回すと『カチカチ』音はするが、セルモーターが回らない バッテリーの容量不足(バッテリーが上り気味)、
セルモーター本体の故障、など
キーを回すとセルモーターが回ったり、回らなっかったり バッテリーの容量不足(バッテリ上り気味)、
キーシリンダー、マグネットスイッチ、
セルモーター内部の接触不良、など
キー回すと「ギギギ・・・」、「ガリガリ」といった異音発生 セルモーターのピニオンギア、
エンジン側フライホイールのギアの摩耗・損傷、
セルモーター本体の故障、など

 

セルモーター作動不良の原因で見逃がしやすい部分は、キーシリンダーの接触不良です。

工事用、農作業用など、室内に粉塵・砂埃が多い車両

営業車等で、イグニッションキーをON/OFFする回数が多い車両などの場合は、要チェックです。

 


 

こちらも見逃しやすい原因ですが、 エンジン側のリングギアの摩耗

一部分だけ摩耗している場合でも、始動困難や異音の発生原因となります。 セルモーターを交換する前に、リングギアに摩耗が無いか点検して下さい。

 


 

セルモーターを交換後、しばらく経過すると症状が再発する事があります。それは、セルモーターのオーバーランによる焼付きです。

セルモーターは 負荷を与え続けると、内部で発熱し最終的に焼付いてしまいます。

エンジンがかかりにくいので、ついつい連続でセルモーターを回し過ぎていませんか?

 

回転速度は1分間に約50~200回転程度で、強力な力を発生する一方、動作時間は短く、日本工業規格においても連続30秒間とされています。

エンジンが一発で始動する状態に整備してからセルモーターを交換 してください。


下の動画は、セルモーターを単体でテストする方法を撮影したものです。
とてもわかりやすい動画なので、ご参考下さい。